↓原題＆邦題「わたしは女優志願」
↓娘のダイナー・マノフ
↓父親のウォルター・マッソー
↓父の同棲相手のアン・マーグレット
↓墓の中にいる祖母に話しかける娘
↓父と喧嘩腰で対面する娘
|
|
|
ニール・サイモン脚本作品には、
芸能界を舞台にした作品が度々登場します。
代表作「グッバイガール」(1977)は、売れない役者リチャード・
ドレイファスと、アルバイトでモデルをするマーシャ・メイスンの、
掛け合い漫才のような台詞の応酬が見事な映画でした。
「第二章」(1979)は、ニール・サイモンの自伝的作品であり、
その脚本家を、ジェームズ・カーンが演じています。
「泣かないで」(1981)では、売れない役者ジェームズ・ココが、
重要な脇役として登場しています。
本作の後でも、「あなたに恋のリフレイン」(1991)では、
歌手のキム・ベイシンガーと何度も結婚・離婚を繰り返す、
アレック・ボールドウィンとの恋愛遍歴を描いています。
芸能界を描くのが得意なニール・サイモンが脚本した作品の
タイトルが「わたしは女優志願」というのだから、
タイトル通り女優を目指す娘の話だろうと思い、
期待を膨らませて映画館へ足を運びました。
しかし、その期待はあっさりと裏切られました。
確かに表向きは、女優を目指す娘が、脚本家の父を頼りに、
芸能界入りのきっかけを掴もうとする話になっています。
しかし、映画の本質的なテーマは、１６年前に妻子を捨てた父に
１９歳に成長した娘が会い、喧嘩腰の対面の後、
父と娘の心の交流を、丁寧に描く事でした。
「女優志願」(1958)という、そのものずばりのタイトルで、
女優を目指す娘の話は、シドニー・ルメットが監督しているので、
ニール・サイモンは、同じテーマを避けたのだと、
後に「女優志願」を見て、思いました。
テーマは裏切られましたが、ニール・サイモン得意の
エスプリの利いたセリフ回しは健在であり、
日本映画によくある、お涙頂戴に成りがちな場面を避け、
上質なハートフル作品に仕上がっているのは、さすがです。
ウォルター・マッソー演じる脚本家の父が、夢も希望も無くして、
世の中を斜めに見る癖ばかりついている姿が、はまっています。
娘のダイナー・マノフの、活き活きとした若さと対照的です。
ダイナー・マノフの猪突猛進的に突き進んでいく前半と、
父の愛を求める繊細な後半の演技の使い分けが見事で、
その個性と演技力で、見る者をぐいぐい引っ張って行きます。
彼女の代表作である事は、間違いないでしょう。
父と別れた母親が、娘を溺愛するあまり、息苦しくなって
母親の元を飛び出した娘ですが、自分の気持ちを打ち明ける相手が、
墓の中にいる祖母だけという孤独を避けるため、
父と会う決心をするところから、この映画は始まります。
脚本家の父を頼れない事が分かった娘は、ハリウッドに自分を
売り込もうと、あの手この手を使いますが、父に一笑に付されます。
どうして前向きな考え方が出来ないのかと訴える娘を見ている内、
父は娘を愛おしく思い、娘は父に人間的な魅力を感じ始めます。
そして、娘の孤独を理解した父親と、父の愛情を感じた娘は、
深い絆で結ばれます。娘は父に、電話で母や弟と話をさせます。
父が、長年に渡る心の重荷から開放される瞬間です。
生きる気力を取り戻した父の姿を見た娘は、母のいるニューヨーク
に戻ります。父の車のワイパーに、娘の残したカードがありました。
そこに書いてあるメッセージは、前半の伏線が効いているだけでは
なく、ニール・サイモン得意のエスプリの利いた言葉を
代表していて、爽やかな気分で、映画を見終える事が出来ます。
そのメッセージ文は、映画を見てのお楽しみとします。
ニール・サイモン脚本作品の他のページへ
泣
かないで
アルコール依存症から立ち直れない母と、聡明な娘の生活を描いた作品
第 二 章
脚本家ニール・サイモンが、マーシャ・メイソンとの再婚を描いた自伝的作品
ニー
ル・サイモンのキャッシュマン
大金を抱えた父が、娘や孫との仲を取り戻すま でを描いたハートフル・コメディ
昔 みたい
弁護士の妻と検事の夫が、妻の前夫の強盗容疑を巡って争うｼﾁｭｴｰｼｮﾝｺﾒﾃﾞｨ
管理人への御意見・御要望は、 を
クリックして下さい。
有料メルマガは廃止し、無料メルマガとして、2017年10月14日より、
新たに配信スタートします。下のボタンをクリックすれば、
まぐまぐの個別ページに移動し、無料メルマガ登録が出来ます。
 へ
|
|
