DVDで見れない傑作映画

 飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ(1982)

「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」は、不治の病に
かかった医師が、妻に新しい命を宿し、
子供達へ残した手記を元にした実話です。

管理人:タッキー

最新更新日:
2017年9月29日

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↓パンフレットより
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医師が不治の病にかかる話は、アメリカ映画「ドクター」(1901)の
ウイリアム・ハート演じる外科医が、癌にかかる話や、
テレビドラマ「白い巨塔」(1978年版、2004年版)の田宮二郎・
唐沢寿明演じる外科医が、同じく癌にかかる話が有名です。
しかし両作品とも、外科医としての手腕を過信し、患者の立場に
なって考える事を顧みなかった医師が、癌にかかる話です。

「ドクター」は、癌にかかった後、患者の心情をウイリアム・
ハートが理解する事を通じて、病院のシステムや医師の態度に
対する考え方が、180度変化する点を描いています。
「白い巨塔」は、患者の治療を疎かにしてまで、権謀術数の限りを
尽くして第一外科の教授の椅子を手に入れようとする外科医に対し、
まるで神の天罰が下るように、癌にかかる話です。

両作品とも医師が癌にかかる事によって、ドラマツルギーとしての
効果が最大限発揮されるように、主人公の性格を設定しています。
しかし、この2作に対し、「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」は、
実話(手記)に基づく映画化なので、主人公の医師の性格も、
実話通りに描かなけれなりません。この映画の主人公は、
最初から患者の立場を最優先する内科医です。

不治の病にかかる主人公を描いた実話の映画化は、
枚挙にいとまがありません。21世紀に入ってからでも、
脊髄小脳変性症によって身体の自由が効かなくなった少女が、
死に至る様を書き残した日記を元に描いた「1リットルの涙」
(2004)は、タイトル通り涙無しには見られない映画でした。

「余命1ヶ月の花嫁」(2009)は、癌に侵された若い女性が、
手記や日記では無く、ビデオレターに記録を残し、
テレビ放映されるという点が、いかにも現代的です。

しかし、「飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」のように、不治の病に
かかった医師の手記を元にした映画化は、極めて異色です。
医師の視点で描かれているので、病気の経過・進行も、
リアルに描かれています。そして、患者の立場を最優先に考える
医師が、自分が死を迎えるにあたり、何を最も重要に考え、
何を残しておきたかったを、明確に伝えています。

名高達郎演じる内科医・野中一彦は、最初の赴任池である沖縄で、
竹下景子演じる調剤師のミチに恋します。最初は、本土の人間と
して拒んだ竹下景子ですが、沖縄の言葉を必死に覚え、
老婆を肩車して祭りを見せる彼の姿に惹かれ、二人は結婚します。
本土の病院へ戻った二人は、飛鳥と名付けた娘を産み、
将来は、沖縄で開業する事を目標にしていました。

そんなある日、テニスをしている名高達郎の膝に激痛が走り、
腫瘍を見つけました。助かるには右足を切断するしかないと悟った
名高達郎は、手術に踏み切り、義足でのリハビリでは、
竹下景子が、献身的に看護します。

しかし、悪性腫瘍は名高達郎の体に転移していました。それに
気づいた時には、既に手のほどこしようがない状態であることが、
レントゲン写真を見た名高達郎には、痛いほど良く分かりました。
自らの余命を知っても、体が動く内は、出来るだけ医師として
尽くそうと、名高達郎は決意します。入院しての延命を拒み、
痛み止めを打ちながら、最後の力を振り絞って、
自分に全幅の信頼を寄せる患者たちに尽くす姿は、感動的です。

外科から助からない患者を看て欲しいと頼まれた名高達郎は、
余命を患者に打ち明けるべきがどうか、外科医に聞かれます。
「打ち明けて、人生の最後に成すべき事を考える時間の余裕を、
患者に知らせるべきだ。但し、近親者には最後の最後まで伏せて、
悲しみを最小限に抑えるべきだ。」と持論を展開します。
自身が不治の病と闘っているからこそ、到達した心境です。

その持論通り、妻には不治の病に冒されている事を隠していました
が、感のいい竹下景子は気付いていました。
自らの治療に協力が必要なので、余命を打ち明けていた夫の弟から、
竹下景子は、真相を聞き出して確信を得ます。
妻が知った以上、名高達郎が妻にして欲しい事は、一つだけでした。

自分が死んでも、妻や娘の飛鳥が寂しくならないよう、もうひとり
子供を産んで欲しい。それを知っ竹下景子は不安でした。
果たして、夫がいなくても、二人の子供を育てていけるのか。
しかし、夫の最後の願いを拒む事は出来ませんでした。

名高達郎は、最後の力を振り絞って、妻と抱擁を交わし、第二子が
竹下景子のお腹に宿ります。大喜びする名高達郎。
しかし第二子を見る前に、名高達郎の命の火は消えてしまいます。
それを悟った名高達郎は、「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」最後の
手記を
残します。血反吐を吐き、妻に書いてもらいながら。

「私はもう幾らもお前達の傍にいてやれない。お前達が倒れても、
手を貸してやる事も出来ない。だから倒れても倒れても、
自分の力で起き上がりなさい。」それは、彼自身が歩んできた道で
あり、自らの生き様を子供たちに伝えたい一心で出た言葉でした。

この作品は、後に稲垣吾郎主演でテレビドラマ化(2005)され、
そのDVDは出ています。しかし、名高達郎にとっても、
竹下景子にとっても、映画の代表作になる本作の方こそ、
DVD化して欲しいものです。

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