DVDで見れない傑作映画

 ブラックホール(1979)

「ブラックホール」は、ディズニー映画が映画史上
初めてブラックホールを主題として取り上げた、
SFファンタジーです。

管理人:タッキー

最新更新日:
2020年2月8日

プロフィール トップページ
↓パンフレットより
P1
P4
P9
P12
P13
P16
小学校高学年の頃の私は、天文学の本が好きで良く読んでいました。
中でも恒星の一生には、興味深いものがありました。
太陽は、水素からヘリウムへの核融合を行う青年期の恒星であり、
やがて水素を使い果たすと、ヘリウムから更に重い元素への
核融合を行う赤色巨星へと膨張します。

その後、膨張と収縮を繰り返す変光星になり、
その内大爆発を起こして、比重の重い白色矮星となります。
この大爆発が、地球から見ると新星に見えます。
私が読んだ頃の本には、更に大きな大爆発を起こして超新星となる
場合が稀にあり、その結果非常に密度の濃い中性子星や、
更に密度の濃いブラックホールが生まれる、と書いてありました。

その後の天体物理学の発達により、
白色矮星は、やがて自らの重力で原子が潰され、
電子が飛び散って原子核だけの中性子星になる事が、分かりました。
中性子星は、1立方センチあたり数億トンの密度がありますが、
更に密度が濃い、1立方センチあたり100億トン以上の星がある
として、考えられたのがブラックホールです。

ブラックホールでは、光さえ閉じ込められる強力な引力があるので、
見えません。真っ暗で、すべてのものを吸収するという意味で
付けられた名前です。実際、ブラックホールの引力の影響を受けて
いる恒星が、観測されています。ここまでは、現実の世界です。

しかし、ブラックホールに吸い込まれたものが吐き出される
ホワイトホールや、ブラックホールとホワイトホールを繋ぐ
ワームホール、ワームホールを利用したワープ航法は、
理論上の話であり、SFの世界です。

映画「ブラックホール」は、1979年末にアメリカで公開され、
1年後の1980年末に、日本で公開されています。
1978年夏に、アメリカより1年遅れて公開された
「スターウォーズ」第一作(エピソード4)と、
その年の春に公開された「未知との遭遇」によって、
日本でもSFブームが起こりました。

翌1979年夏には「スーパーマン」第一作と、
「エイリアン」第一作が公開され、1980年夏には、
「スターウォーズ」第二作(エピソード5)を始めとして、
「スタートレック」第一作、「ファイナル・カウント・ダウン」
日本映画でも「復活の日」と、空前のSFブームになりました。

当時のアメリカ映画の大作は、半年遅れで日本公開されるのが
普通でしたが、「ブラックホール」は、これだけSF映画が
集中した1980年夏を避け、1980年末の正月映画に変えたのでしょう。
1年遅れの日本公開の理由は、
正月より夏の方が若い観客を集客出来ると考えて、
1年遅らせた「スターウォーズ」第一作とは異なります。

この映画では、見えないブラックホールを、渦巻き星雲のように
描き、真っ暗な宇宙に青みがかった色を付けています。
宇宙船シグナス号の、金色に輝くデザインとともに、
ディズニー映画らしい派手な色彩設計だと思います。

しかし、本格的なSF映画を期待して映画館へ行った私は、
ディズニー映画らしい色彩設計には納得しても、善悪のロボット
同士の光線銃による対戦には、納得出来ませんでした。
いくらファミリー層狙いのディズニー映画とは言え、
これでは、「スターウォーズ」の2番煎じに見えてしまいます。

製作準備期間に5年を要したこの映画は、
より本格的なSF映画を目指していたのだと思います。
ところが、「スターウォーズ」の大ヒットを考慮した経営陣が、
ロボット同士の対戦を大幅に増やしたのでしょう。

今回3度ほど見直しましたが、プロットはSF映画の名作
「禁断の惑星」(1956)に似ています。高度な文明を持つ先住民や、
潜在意識が作り出すイドの怪物が、ブラックホールに相当します。
禁断の惑星に住み着いて、その究明に執念を燃やすウォルター・
ピジョン博士が、ブラックホールの傍のシグナス号に住み着き、
究明に執念を燃やすマクシミリアン・シェル博士に相当します。

行方不明の博士を探して、禁断の惑星やブラックホールに
辿り着くクルー達というプロットも同じです。
何よりも、クルー達を補佐する役割であるロボットのロビー
(禁断の惑星)や、ビンセント(ブラックホール)の
キャラクターに人気が集まった点まで、そっくりです。

ディズニーは実写SFの分野で、SF小説の古典であるジュール・
ベルヌの「海底2万マイル」の映画化(1954)を大ヒットさせた
実績があります。プロットも、ネモ船長がマクシミリアン・
シェル博士に、ノーチラス号がシグナス号に相当します。
ノーチラス号に捕らわれた人々が、次第にネモ船長の考え方に
不信を抱き脱出を試みるのも、シグナス号から脱出を試みる
クルー達を描く「ブラックホール」が真似ているプロットです。

「海底2万マイル」の後ディズニーは、「フラバー」(1961)、
「ラブバック」(1969)、「テニス靴をはいたコンピューター」
(1969)と、SFというよりファンタジー系の実写コメディを制作し、
ヒットさせています。しかし「海底2万マイル」のような
本格的SFエンタテインメントを復活させる目標を持って
制作されたのが、この「ブラックホール」です。

従ってこの映画は、「スターウォーズ」以前のSF映画の
テイストを持ちつつ、「スターウォーズ」以降のSFXや
アクションを取り入れた作品に仕上がりました。
SF映画ファンとしては、ロボット同士の対戦よりも、
ブラックホールの究明に、もっと焦点を当てて欲しかったです。
もちろん、SF(サイエンス・フィクション)の世界である、
架空の想定としての、ブラックホールの究明です。

同じような映画の感想を日本の観客も持ったためか、
ディズニーが期待したほどの興業成績は上げられず、
日本ではDVD化されていません。ビデオも入手困難です。

ディズニーブランドを守るため、ディズニー作品は、
新録吹き替えを付けなければ、リリース出来ません。
この映画「ブラックホール」は、SF映画としてのプロットや、
画面の色彩設計が素晴らしく、潜在ユーザーが多いはずなので、
是非、新録吹き替えを付けたDVDをリリースして欲しいものです。

管理人への御意見・御要望は、メールフォームを クリックして下さい。

有料メルマガは廃止し、無料メルマガとして、2017年10月14日より、
新たに配信スタートします。下のボタンをクリックすれば、
まぐまぐの個別ページに移動し、無料メルマガ登録が出来ます。
無料

トップページ
 
目次
 1、DVD化に関するアンケート調査・映画やホームページに対する意見や感想

1、DVD化に関するアンケート調査・映画やホームページに対する意見や感 想

  DVD化に関するアンケート調査


DVD化を検討するメーカーへの参考になるよう、
特典映像と、吹き替え音声の仕様に対し、
左記のアンケートに御協力下さい。

アンケートフォーム内から、1項目のみを選択し、
投票するボタンをクリックして下さい。

1つのアンケートフォームに対し、
重複選択は、禁止になっています。

「結果」をクリックすると、
投票結果を閲覧出来ます。

購入しても良い価格帯を、
下記のアンケートフォームの、
A~Eに対応する価格帯から、
1価格帯のみを選択し、
投票するボタンをクリックして下さい。

1つのアンケートフォームに対し、
重複選択は、禁止になっています。

「結果」をクリックすると、
投票結果を閲覧出来ます。

  この映画に対する意見や感想
  ホームページに対する意見や感想

掲示板
意見や感想については、左の掲示板ボタンをクリックし、御記入下さい。
映画「ブラックホール」に関する意見や感想は、
件名に、ブラックホールと、入力して下さい。
映画「ブラックホール」のホームページに関する意見や感想は、
件名に、メールマガジン「ブラックホール」と、入力して下さい。
トップページ