↓イスタンブール特急が走るシーン
↓主人公のジーン・バリー
↓指令を出すメアリー・アン・モーブリー
↓敵のリーダーのセンダ・バーガー
↓列車の保安係のジョン・サクソン
↓競売場の司会のジョン・マーレイ
|
|
|
サスペンス映画は、先の展開が読めない意外性があるストーリーで、
ヒッチコック監督が得意にしていたジャンルです。
ミステリー映画は、犯人探しに代表される推理映画であり、アガサ・
クリスティ原作の探偵ポアロが出てくる映画が代表でしょう。
映画やドラマでは、この2つのジャンルをしばしば混同して
使用していますが、本来は別のジャンルです。
しかし、この映画「イスタンブール特急」は、オリエント急行の
一部である、フランスのパリとトルコのイスタンブールを結ぶ
列車を前半の舞台にして、サスペンスとミステリーの両方が
楽しめる出来になっています。
それもそのはず、脚本を手がけたのが、刑事コロンボシリーズの
リチャード・レヴィンソンとウィリアム・リンクだからです。
今も続く007シリーズが大人気だった1960年代後半は、
その人気に便乗した亜流映画シリーズが量産されました。
ジェームズ・コバーン主演の「電撃フリントGoGO作戦」(1966)、
と、「電撃フリントミサイル作戦」(1967)。
ディーン・マーティン主演の「サイレンサー沈黙部隊」(1966)、
「サイレンサー殺人部隊」(1966)、「サイレンサー待伏部隊」
(1967)、「サイレンサー破壊部隊」(1968)という、007を
パロディにしたようなアメリカのナンセンス映画。
フランスでも、往年の百面相の怪盗ファントマを題材にした
ジャン・マレー主演の「ファントマ・危機脱出」(1964)、
「ファントマ・電工石火」(1965)、「ファントマ・ミサイル作戦」
(1967)が作られ、怪盗ファントマよりも、ルイ・ド・フュネス
扮する警部のズッコケぶりが目立ちました。
アメリカのテレビ・シリーズでも、「0011ナポレオン・ソロ」
が作られ、主演のロバート・ヴォーンとデヴィッド・マッカラムが
人気スターになりました。最近でも、「コードネーム U.N.C.L.E.」
(2015)として、映画化されています。
本家007も、この0011も、当初はシリアス路線でしたが、
007は、巨大セットを舞台に荒唐無稽な秘密兵器が登場する
スペクタクル路線に、0011はナンセンス路線に走りました。
そんな当時の状況に一矢報いたいと考えていたリチャード・
レヴィンソンとウィリアム・リンクが、刑事コロンボの
パイロット版となったテレフィーチャー「殺人処方箋」(1967)に
続いて脚本を書いたのが、このテレフィーチャーです。
007シリーズがシリアス路線だった頃の最高傑作「007・
ロシアより愛をこめて」(1963)と同じ、オリエント急行を舞台に
選び、走る列車の緊迫感と密室性を重視しました。
東西冷戦時代のスパイ戦を、アクションではなく頭脳戦に変えて
いるのがこの作品の特徴であり、脚本家の真価が問われる作品です。
主演には、「殺人処方箋」に続いてジーン・バリーが抜擢され、
渋い演技を見せています。前半は、オリエント急行を舞台に、
ある暗号を1桁ずつ探っていく展開が、敵のスパイの罠を含め、
ミステリータッチで描かれて行きます。
イスタンブールについてからの後半は、オークション会場で、
ある物が競売にかけられ、敵のスパイとの競り落とし合戦が、
サスペンスフルに展開します。この後、どんでん返しがあり、
更に、敵のスパイの渦中に飛び込んでいく主人公。
これ以上書くと、ストーリーがばれるので、書きません。
列車を舞台にしたため、このテレフィーチャーをパイロット版に
してシリーズ化する事は出来ませんでした。
しかし、単体作品として見れば、第一級のサスペンス作品であり、
ミステリー作品でもあります。
是非、DVD化して欲しいテレフィーチャーです。
管理人への御意見・御要望は、を
クリックして下さい。
有料メルマガは廃止し、無料メルマガとして、2017年10月14日より、
新たに配信スタートします。下のボタンをクリックすれば、
まぐまぐの個別ページに移動し、無料メルマガ登録が出来ます。
へ
|
|