DVDで見れない傑作映画

 菩提樹(リンデンバウム)(1988)

「菩提樹(リンデンバウム)」は、主人公が援助を受けている
足長おじさんの正体を知り、そのショックから立ち直る
南野陽子主演映画です。

管理人:タッキー

最新更新日:
2017年9月30日

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↓パンフレットより
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南野陽子主演のアイドル映画3作は、何れも漫画(コミック)を
原作としています。1980年代後半、一般の日本映画は、
まだコミックを題材にした映画が少ない頃でしたが、
アイドル映画は、題材の半数近くをコミックに依存していました。

1970年代~80年代前半までは、アイドル映画もコミックを
題材にした映画は、それほど多くありませんでした。
アイドル映画のメイン観客層である十代中盤~後半にとって、
コミックは人気のある分野なので、一般の日本映画より、
題材のコミックへの依存率が高かった事は事実です。
それでも、題材の1~2割程度でした。

それが、1970年代後半~80年代前半にかけて、まず準A級
アイドル歌手の主演映画の題材としてコミックが重宝されました。
アイドル映画は、本来、主演するアイドル歌手のキャラクターに
合わせて原作が選択されるか、オリジナルストーリーが展開し、
その興行価値は、主演するアイドル歌手の人気に依存します。
しかし、準A級アイドル歌手では、キャラクターの一般的人気に
乏しく、興行価値が低いため、コミック人気を利用しました。

それが、トップアイドルである小泉今日子が初主演した「生徒諸君」
(1984)の頃から、A級アイドルの主演映画でも、コミック原作もの
が増えて行きました。それは、何故でしょう。
1970年代は、映画とテレビの連ドラの両方の主演をこなせる
トップアイドルは、山口百恵しかいませんでした。
山口百恵は、アイドル歌手とアイドル女優を見事に両立させたから
こそ、1970年代最高のトップアイドルに君臨出来ました。

逆に言うと、他のトップアイドルは、あくまでアイドル歌手が
本業であり、映画主演は副業に過ぎませんでした。
アイドル歌手としてのステータスを上げるために映画主演する場合、
後に女優として活躍する準備として映画主演する場合と、
理由は様々でしょうが。
1980年代のトップアイドルである松田聖子や中森明菜も、
本業はアイドル歌手であり、1970年代の流れを汲んでいます。

しかし、山口百恵と同じ所属事務所の堀ちえみが、
テレビの連ドラ「スチュワーデス物語」(1983~84)を大ヒットさせ、
その後もテレビの連ドラを続けた事から、
トップアイドル=トップアイドル歌手という方程式が崩れました。
アイドル歌手とアイドル女優を両立させるトップアイドルが、
小泉今日子・菊池桃子・中山美穂と、次々誕生していきました。

トップアイドルが当たり前のように、テレビの連ドラに主演する
ようになった1980年代後半、アイドル映画は、
連ドラとの差別化を迫られます。只で見られる連ドラと同じような
アイドル映画を作っても、観客は見てくれません。
ファンだけでなく、一般視聴者向けに作る連ドラに対抗するには、
ファン層が重なる人気コミックの知名度が必要になりました。
それが、コミック原作のアイドル映画が、急増した理由です。

アイドルが分業化した現代、アイドル俳優・女優が主演する
若者向け映画が、コミック原作なのは当たり前です。
それだではなく、1980年代後半のコミック原作の
アイドル映画で育った世代までカバーしている事が、
今日の映画がコミック原作に頼りきっている一因になっています。

南野陽子も、アイドル歌手とアイドル女優を両立させていた、
1980年代後半を代表するトップアイドルのひとりです。
しかも、アイドル歌手としてヒット曲を出すより前に、
アイドル女優として人気連ドラに主演するという、
1980年代後半のトップアイドルのあり方を象徴する存在です。
主演したアイドル映画3本が、すべてコミック原作なのも、
1980年代後半のアイドル映画を象徴しています。

その連ドラは、「スケバン刑事Ⅱ」(1985~86)。シリーズ中最も
人気が高く、その映画化作品(1987)も大ヒットしました。
派手なアクション満載の映画化作品は、多くの亜流作品を生み、
ちょっとした少女アクション映画ブームになりました。
これが南野陽子の映画デビュー作にして、初主演作になります。

映画「スケバン刑事」に続いて、コミック原作の
東映の1988年正月映画「はいからさんが通る」も大ヒット。
東映の顔となった南野陽子は、同年夏休み映画の主演も任されます。
「魔法使いサリー」の実写化等が検討されましたが、
南野陽子が選んだのは、「はいからさんが通る」と同じ原作者
大和和紀の「菩提樹(リンデンバウム)」です。

「スケバン刑事」では、特命刑事として悪に立ち向かう高校生、
「はいからさんが通る」では、剣術が得意なじゃじゃ馬娘という、
コミック原作らしい役柄を得意にしていた南野陽子ですが、
この映画では、打って変わって真面目な医大生を熱演しています。
小学生の時、両親を交通事故で亡くした少女が、正体を見せない
「足長おじさん」の援助で成長、名門医大に合格して、
無医村を回って働いていた父親の後を継ごうと頑張ります。

そんな医大生活の中で、恋心を抱いた助教授のゼミに参加するの
ですが、助教授からゼミへ参加した理由を問われ、
「先生を好きだからです。」と答える南野陽子。
前2作とは違い、可憐で清楚な南野陽子の姿には、
アイドルを卒業し、美人女優として生きて行こうとする、
凛とした美しさが漂います。

足長おじさんの正体を知り、そのショックに打ちのめされながらも、
健気に立ち直るストーリーに、1970年代アイドル映画への回帰
を感じます。後に女優として活躍する準備として映画主演する
1970年代アイドル歌手と、同じ選択を南野陽子がしたからこそ、
「魔法使いサリー」ではなく、この映画を選びました。

「魔法使いサリー」を選んだ方が、興業的には安全パイだったので
しょうが、この映画に主演したからこそ、アイドルを卒業した
南野陽子に、その後の女優としての道が開けました。
常に自らの主張を貫き通す意思の強さを持った南野陽子だからこそ、
「私を抱いて、そしてキスして」(1992)という名作に巡り会える
事も出来ました。
そんな南野陽子の、アイドルから女優へ成長していく過程と、
可憐で清楚な姿を、DVDのクリアな画面で見たいものです。

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