DVDで見れない傑作映画

 愛情の設計(1977)

「愛情の設計」は、心臓弁膜症の少女が、人形のように生きる
事を拒否し、愛のために死を選ぶ初恋映画です。

管理人:タッキー

最新更新日:
2017年9月30日

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1970年代は、まだ漫画を原作にした映画は珍しかったのですが、
この映画は、少女漫画の枠を超えて人気があった漫画家である、
里中満智子の同名漫画を、原作にしています。

松竹は、梶原一騎原作の漫画「愛と誠」(1974)を、アイドルの
西城秀樹主演で大ヒットさせ、3部作にした実績があります。
「愛と誠」と同じ山根成之を監督にし、
アイドル浅田美代子主演で、里中満智子の同名漫画を映画化した、
「あした輝く」(1974)を制作した実績もあります。
その松竹が、同じ山根成之監督で、アイドル桜田淳子を主演にして、
里中満智子の同名漫画を映画化するのは、当然の流れでしょう。
残念ながら、ビデオ化もDVD化もされていません。

私は、「愛と誠」も、「あした輝く」も、劇場で見ていないので、
「愛情の設計」で初めて山根成之監督の斬新な演出に出会い、
当時は驚きました。シーンが切り替わる時にモノクロになる画面、
重要な場面では、ネガポジ反転の画面もありました。
また、スクリーンの2分割も、日本映画としては珍しかったです。
更には、ナレーションを字幕にし、
その内容がポエム風だったのも、新鮮でした。

この映画は、心臓弁膜症を患っている大学受験中の少女が、
初めて異性を好きになり、その浪人中の少年を愛してしまう話です。
静養していれば、命を落とす危険がない病気であるにも関わらず、
その一途な初恋を守り抜くために、死をもいとわない姿は、
若さだけが持つ特権に見えます。年齢を重ねると、
一途な想いだけで死を選ぶ事は、出来なくなるかも知れません。

自ら死を選ぶ点では、このホームページでも取り上げた
「この生命、誰のもの」(1982)と共通していますが、
リアルさを追求した「この生命、誰のもの」に対し、
「愛情の設計」は、青春の一途な初恋に重点が置かれています。

今回、久しぶりにこの映画を見直して、山根成之監督の斬新な演出
の数々が、若い十代特有の真っ直ぐな気持ちに溢れた世界観を、
上手く表現している事に気付きました。
打算的な大人の世界から、切り離して見る事が必要な、
この映画のテーマに、ピッタリな演出だと思います。
           
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