↓原題「THE PRESIDENT'S PLANNE
IS MISSING」
↓副大統領のバディ・イブセン
↓タカ派の教授リップ・トーン
↓ハト派の国務長官レイモンド・マッセイ
↓教授に同調する参謀長
↓新聞記者のピーター・グレイブス
↓新聞支社長のアーサー・ケネディ
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大統領不在中に、副大統領が代わりを努めようとするプロットは、
同じテレフィーチャーで、このホームページでも取り上げている
「ザ・マン~大統領の椅子」(1972)と似ています。
「ザ・マン~」の方は、大統領が急死し、
棚からボタモチ式に就任した黒人大統領の話でした。
制作は「ザ・マン~」の方が早く、アメリカでは劇場公開される
ほど、評判を呼んだので、二匹目のドジョウを狙ったかのように
製作されました。しかし、日本のテレビ放映では、
「大統領専用機遭難す」の方が先で、1975年に放映されました。
ホワイトハウス内でのディスカッション・ドラマとしては、
「ザ・マン~」の方がヒューマン・タッチで良く出来ていますが、
ポリティカル・フィクションを見たのは、「大統領専用機遭難す」
が初めてだったので、印象深かった記憶があります。
タイトルの「大統領専用機遭難す」から、当時はエアフォースワン
という言葉が、一般化されていない事が判ります。
原題(THE PRESIDENT'S PLANE IS MISSING)にも出てきません。
しかし、作品内では、頻繁に使われています。
テレビの番組表に載せる時に、解り易さを優先したタイトルです。
改めて見直すと、大統領専用機が行方不明になってから、
燃料が尽きる時刻に達し、死亡説が有力になるまでの冒頭20分は、
散漫です。予算が少ないテレフィーチャーなので、
大統領専用機の墜落スペクタクルのシーンを省略していますが、
その分、その後のドラマに焦点を当てています。
ドラマは、副大統領がホワイトハウスに呼ばれ、タカ派の参謀長や
教授に口説かれて、大統領代行を行おうとする下りから、
俄然面白くなって行きます。特に、敵のミサイル基地増強の写真を
見せて、副大統領に自国の核ミサイル応戦体制の強化を奨める
教授や参謀長と、それに反対する国務長官との丁々発止のやりとり
が、ディスカッション・ドラマを盛り上げています。
ラストのどんでん返しも見事で、核戦争のリスクをテーマにした
ポリティカル・フィクションに仕上がっています。
ピーター・グレイブス扮する新聞記者が、大統領死亡説を否定し、
その行方を追うミステリー部分も並行して描かれていますが、
こちらの方は平凡な出来です。ピーター・グレイブスが、
「スパイ大作戦」で人気俳優になった事への配慮を感じます。
敵のミサイル基地増強の写真を見た副大統領の、
ホワイトハウス内での、会話の一部を抜粋します。
参謀長:驚異とは言えません。こちらは、然るべき手を打てば良い
と言うのが、統合参謀本部全体の意見です。
副大統領:教授、どういう事かね
教授:戦略的反応行動計画を実施すべきでしょうね。
副大統領:国務長官、これをどう思う。
国務長官:言葉の誤魔化しだと思います。その計画を具体的に
言えば、第三次世界大戦を確実に引き起こす手段です。
教授:核抑止力というのは、実態が無ければたいして値打ちの無い
ものです。こちらが使う意思がある事を、敵に信じさせねば
ならないのです。それが、何時の場合もゲームの法則の
第一歩でしょうな。
国務長官:これは、ゲームだとは思えないし、学者の博士論文でも
無い。副大統領、大統領は戦略的反応行動計画には、
完全に反対なさっていました。
副大統領が、この大統領決定を聞いていなかった事に対し、
国務長官:教授、外交政策は貴方の担当じゃない。国務長官は私だ。
教授:しかし最終決定を行えるのは、貴方でも無ければ、
また私でもありません。それは大統領代理の権限でしょう。
国務長官:でも、それは戦線布告とも言える行為です。
その決定には、議会の承認が必要ですよ。
教授:しかし国務長官、歴代大統領は全軍最高司令官という資格で、
議会を抜きに、そういう行動をとってきましたよ。
国務長官:副大統領、早まった行動はとらないで下さい。
「言葉の誤魔化し」「議会を抜きに」という単語が、安倍政権が
強引に推し進めようとしている集団的自衛権の憲法解釈変更と、
重なって聞こえます。今だからこそ、DVD化して、
皆さんに見て頂きたい作品です。
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1970年代に初の黒人大統領になった男の苦悩を描いたドラマ
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