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1970年代後半から1980年代初頭にかけて、人気若手女優のブームが
ありましたが、その後、人気若手男優が中心の
YA(ヤング・アダルト)スターブームに変わっていきました。
そのブームを牽引したのがマット・ディロンであり、
フランシス・フォード・コッポラ監督の「アウトサイダー」
(1983)で、人気が沸騰しました。
「アウトサイダー」に出演していたC・トーマス・ハウエルや
ラルフ・マッチオと、「タップス」(1982)に出演していた
ティモシー・ハットンやショーン・ペンが、
YAスターと呼ばれました。
但し、これは日本独自の現象であり、ファン層が共通する彼等を
総称する呼び方に過ぎませんでした。
本国アメリカでは遅れる事2年、「セント・エルモズ・ファイヤー」
(1985)や、「ブレック・ファスト・クラブ」(1985)に出演していた
若手男女優を総称して、ブラッド・パック(小僧っ子集団)と
呼んでいました。
エミリオ・エステべスを中心に、アンソニー・マイケル・ホール、
ロブ・ロウ、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーア、
ジャド・ネルソン、モリー・リングウォルド、アリー・シーディー
が団結する事により、個人では影響力の乏しい、
脚本や配役に対して影響力を持ちました。
ブラッド・パックが台頭した頃、マット・ディロン達のYAスター
は、既に単独の俳優として独り立ちしていました。
ラルフ・マッチオが、「べストキッド」シリーズ(1984~89)に、
C・トーマス・ハウエルが、「ヒッチャー」(1985)に、
ティモシー・ハットンやショーン・ペンが、
「コードネームはファルコン」(1885)に、といった具合に。
そして、YAスターの牽引役だったマット・ディロンが、
単独の俳優として、ジーン・ハックマンと堂々共演しているのが、
この映画です。父ジーン・ハックマンの正体に戸惑いながらも、
それを乗り越えて、親子が協力する役を、好演しています。
父と息子のギクシャクした関係を描く映画の序盤は、退屈ですが、
ヨーロッパ旅行中の母が行方不明になり、ジーン・ハックマンが
元の職業を、マット・ディロンに明かしてから、
俄然面白くなっていきます。
平凡な父親に反発する序盤のマット・ディロンは、
YAスターだった頃のイメージを活かしています。
父親の元の職業に戸惑いながらも、若者独特の冒険心も手伝って、
父と子の絆が深まっていく姿は、
誘拐された母親を探すサスペンス映画に、厚みを加えています。
また、まだベルリンの壁が壊れる前の時代背景も、
このサスペンス映画に、緊張感を加えています。
これ以上は、サスペンス映画のストーリーをバラす事になるので
書けませんが、サスペンス映画として一級品である事は、
間違いありません。
DVD化されていないのは、題名が平凡で、同一題名の違う映画や、
似た題名の映画が沢山あるために、埋もれてしまったのでしょう。
奇抜な副題を付けて差別化を図り、DVD化して欲しい作品です。
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