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「インターナショナルベルベット」は、34年前の映画
「緑園の天使」(原題:ナショナルベルベット)(1944)の
続編として制作されました。
「緑園の天使」は、馬が大好きな娘エリザベス・テイラーと、
愛馬パイ、騎手くずれのミッキー・ルーニーとの交流を中心に
描いた、当時の児童文学の映画化です。
イギリスの片田舎で、両親と兄弟に恵まれ、
暖かい家庭に育ったエリザベス・テイラー。
彼女が、愛馬パイを駆って、最も過酷な障害レースである
グランド・ナショナルで優勝するまでを、描いています。
(1位でゴールイン後に倒れたので、優勝は取り消されました。)
当時、夢の工場と言われたハリウッドが得意とする作風で
作り上げた、心温まる作品でした。
天才子役と言われた当時12歳のエリザベス・テイラーに対し、
続編「インターナショナルベルベット」では、同じく天才子役と
言われたテイタム・オニールが、主演しています。
テイタム・オニールは、「ペーパームーン」(1973)において、
史上最年少の10歳で、アカデミー賞助演女優賞を受けた
天才子役でした。
次作「がんばれ!ベアーズ」(1976)は大ヒットし、
12歳にしてマネーメイキング・スターの仲間入りをしています。
テイタム・オニールを中心として、
「タクシードライバー」(1976)のジョディー・フォスターや、
TV「大草原の小さな家」(1974~)のメリッサ・ギルバートが
加わり、人気若手女優のブームが起こりました。
その人気を牽引したのは、テイタム・オニールでした。
後に、青い珊瑚礁」(1980)のブルック・シールズと
「リトルロマンス」(1979)のダイアン・レインが、続きました。
テイタム・オニールが、「ニッケルオデオン」(1976)
(日本公開は1982)に続いて出演したのが、
「インターナショナルベルベット」です。
初の単独主演映画となる彼女は、実年齢と同じ14歳の少女サーラ
を演じます。前作でエリザベス・テイラーが演じたベルベットは、
彼女の叔母として、アネット・ニューマンが演じます。
暖かい家庭で育った前作の少女と違い、テイタム・オニールは、
両親を交通事故で失った、孤独で無口な少女として登場します。
アメリカ生まれの彼女は、見知らぬ異国イギリスで心を閉ざし、
叔母への反抗を繰り返します。
しかし、かつての名馬パイの引退セレモニーに関心を寄せた彼女は
その最後の仔馬に、アリゾナ・パイと命名して可愛がるうちに、
心を開いていきます。叔母とその夫の助力で手に入れた
アリゾナ・パイに乗って駆け回るテイタム・オニール。
オリンピックの馬術競技で優勝を目指すという目標を立てた
テイタム・オニールですが、数々の難関が待ち受けていました。
カウボーイスタイルから、馬術競技での乗馬へのスタイル変更は、
彼女の努力で克服しました。
オリンピック選手になるための資金の調達は、叔母の夫が、
自らの信念を曲げてまで稼ぎ出しました。
愛馬アリゾナ・パイを最も上手く乗りこなせるのは私だと主張する
テイタム・オニールに対し、失格のリスクもあるので、
優勝は出来なくても無難に乗りこなす主将を、アリゾナ・パイの
騎手に決めるコーチ。テイタム・オニールは、自らのチームが、
負けていくのを、見守るしかありません。
前作とは違い、現実的な側面を次々と見せる展開には、
夢よりも現実を重視するという、映画作りの姿勢の差を感じると
同時に、34年という年月の重みも感じさせます。
数々の苦難を乗り越えて18歳になったテイタム・オニールは、
4年後のオリンピックで、落馬で脱臼した肩の痛みをおして
競技に出場しつづけ、見事完走して、チームを優勝へ導きます。
ラストシーン。前作で優勝が無効になった叔母に対し、
金メダルをプレゼントするテイタム・オニールの姿が、
34年という年月を繋ぐ架け橋に見えるシーンです。
テイタム・オニールは、この映画の後、子役出身の役者が陥る壁に
突き当り、失速します。ビデオ化もDVD化もされていない
この映画は、子役から少女スターへ変身したテイタム・オニールの
魅力が唯一出ている映画であり、是非DVDして欲しい作品です。
なお、北米版のDVDは輸入されているようです。
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リ
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