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前作「病院へ行こう」(1990)は、病院を舞台にした純粋なコメディ
作品でした。しかし、この映画は、同じ滝田洋二郎監督、真田広之
出演でも、コメディ色が薄くなっています。ストーリーも、完全に
独立した作品なので、「病院へ行こう2」を副題にしています。
末期癌患者の緩和ケアを目的としたホスピス(PCU病棟)を、
最初に扱った映画であり、緩和ケアの目的でモルヒネを使う事、
ホスピスを積極的に推進する内容である事から、映画公開当時は、
ホスピスのPR映画ではないか、と批判する声もありました。
しかし、「一分一秒でも臨終を遅らせるのが医者の義務だ。」と
主張する、兄で副院長の真田広之に対し、「助からない患者を、
苦しまないように逝かせるのも医者だ。」と反論する、
弟のホスピス担当医の三上博史に、共感します。
私には8年前に、末期癌で逝った血縁者がいるので、その思いが
いっそう強くなりました。身内に末期癌患者がいる方は、
共感出来る映画だと思います。
このホームページで取り上げている「この生命、誰のもの」(1982)
は、患者の意思で死を選ぶ事の是非を扱っています。
しかし、この映画では、僅かな余命に対して、
延命処置を行う事によって苦しんで終わるより、
その余命が少し短くなろうとも、充実させて人生の終わりを
迎えたいと願う患者側の意思を優先しています。
延命処置を施そうとする医師の使命より、
患者側の意思が優先されるのは当然の事であり、
この映画の頃から緩和ケアが、充実してきました。
この映画のヒットも、緩和ケアの代表であるホスピスの充実に
一役買っていると思います。
このようなメッセージ性の強い内容の映画を、
当時どん底にあえいでいた日本映画界で作る事は、
並大抵の事ではありませんでした。しかも、ヒットさせて
ホスピスを周知させなければ、作る意味がありません。
そこで、「病院へ行こう」シリーズとして、コメディを装い、
主演に、当時人気No.1の国民的アイドルであり、
社会的影響力も絶大だった小泉今日子を迎え、
アイドル映画としての装いも付けました。
実際、脚本の一色伸幸が、スタッフにシノプシスを見せた時は、
大ひんしゅくを買い、滝田洋二郎監督も躊躇しましたが、
小泉今日子が主演を快諾した事で、映画の制作にGOサインが
出たと、パンフレットに書いてあります。
93年正月映画として公開されたこの映画は、
「病院へ行こう」を超えるヒットを記録しましたが、
コメディやアイドル映画としての装いと、メッセージ性の強い
内容が合わないためか、DVD化されていません。
緩和ケアが充実してきた現代においては、十分に共感出来る
内容なので、是非DVD化して欲しいものです。
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生徒諸君
小泉今日子が、元気印のナッキーと病弱なマールの二役を演じたアイドル映画
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