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主演の桜田淳子は、初主演映画「スプーン一杯の幸せ」(1975)では、
自らの精神的成長過程を役柄に反映させる事で、
個性豊かなアイドル映画の創造に成功しました。
主演第二作「遺書・白い少女」(1976)では、熱演シーンと
抑えた演技の使い分けで、女優・桜田淳子をアピールし、
作品としては、彼女の代表作になりました。
その桜田淳子が、主演第三作に選んだのは、慣れ親しんだ松竹映画
ではなく、親友でライバルの山口百恵と同じ東宝映画で、
山口百恵の主演作と同様、文芸作品でした。
石坂洋二郎原作の「若い人」は、本作が4度目の映画化です。
1937年の1度目、1952年の2度目の映画は見ていませんが、
何れも、本作と同じ東宝映画です。
1962年の3度目の映画化は、主演の吉永小百合以外にも、先生役に
石原裕次郎、恋敵の先生役に浅丘ルリ子と日活の大スター3人を
起用したため、先生目線で映画化されていました。
4度目の映画化である本作は、スター(アイドル)は桜田淳子だけ
であり、完全に主演の女子高生目線で映画化されています。
他の俳優たちが地味だったためか、先生の大学時代の同級生役で、
吉永小百合がゲスト出演しています。
人気のある文芸作品は、映画化された時代を反映させる作りに
なっている事が多いですが、特に本作ではそれが顕著です。
主演の女子高生の不可解な言動に、先生が惑わされていく前半は、
エキセントリックで小悪魔的な魅力に溢れた、桜田淳子の新境地を
開いた演技が新鮮です。女優としては、彼女の代表作になりました。
桜田淳子と、盟友の山口百恵は、歌手・女優を始め、
様々なフィールドを開拓し、その活躍の場を広げて行きました。
お互いが競い合うように、毎年新境地を開いて行った結果が、
80年代のアイドル黄金時代へと結実します。
映画の世界でもそれは同じで、次々と新境地を開拓して行きました。
この作品は、ビデオ化もDVD化もされていないので、
是非DVD化して、彼女の新鮮な演技を見て欲しいものです。
後半は、不可解な言動の原因が、自堕落な母親の血を
受け継いでいるためだと判ります。先生を好きになる事で、
自分まで自堕落な母親そっくりになる事を恐れた彼女は、
自らの意思で、先生との恋を諦めます。
自らの意思で初恋を諦める姿は、初主演映画「スプーン一杯の幸せ」
と共通し、意思が強い桜田淳子の個性が光っています。
更に、この映画では、自立した女性を描いた映画が台頭し始める
時代背景を、先取りしている側面も感じられます。
吉永小百合の女子高生役は、他の吉永小百合主演映画と同等、
どんな役をやっても、吉永小百合に見えてしまいます。
それは、大スター吉永小百合に相応しい個性であり、
長年、映画の主役を続ける秘訣でもあります。
山口百恵も、引退していなければ、同じく大スターへの道を、
歩いていたと思います。それに対し桜田淳子は、
大スターではなく、演技派への道を進みました。
そのターニングポイントになったのが、本作です。
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