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「プルメリアの伝説~天国のキッス」(1983)から始まる、
松田聖子の主演映画3作は、海外ロケ3部作と言ってもいいほど、
海外を主要舞台とした作品になっています。
「プルメリアの伝説」では、常夏の島ハワイ。
「夏服のイヴ」(1984)では、ニュージーランド。
そして、「カリブ・愛のシンフォニー」(1985)では、
カリブ海に面したメキシコが、主要舞台です。
何れも、爽やかな空気を感じさせる南国であり、松田聖子の
爽やかで快活な個性に、ぴったりと合ったロケ地です。
アイドルが夢を売る商売である事を、自覚していた1980年代の
アイドルファンにとっても、心地よい夢を見せてくれる舞台です。
1980年代は、海外旅行が一般庶民にも手が届くレジャーに
成って来た頃なので、映画のロケ地を参考にしながら、
旅行に行く人も増えてきました。そんな時代背景と、
松田聖子の個性、ファン心理をうまく捉えた事が、
松田聖子主演の海外ロケ3部作の、興業的成功に結実しました。
映画・テレビドラマを問わず、日本の海外ロケ作品は、
観光名所であるロケ地を綺麗に撮る事に注力するあまり、
肝心のドラマ部分が、散漫になってしまいがちです。
しかし、「プルメリアの伝説」では、
序盤のハワイで、松田聖子の元気一杯な個性を生かしながら、
中盤の日本で、中井貴一と出会い、山下真司と葛藤する
重要なドラマシーンを見せています。
だからこそ、後半のハワイでのデートシーンやサーフィンシーンも、
散漫になる事なく、映画に集中出来ます。
「夏服のイヴ」では、前半の冬の日本のシーンで、
羽賀研二との出会いから始まり、葛藤しながら別れる
ドラマシーンを集中させています。そのため、
中盤以降の夏のニュージーランドでの、近藤正臣との開放的な
家族旅行のシーンが、前半とのコントラストで生きています。
何れも、重要なドラマシーンを日本で撮る事により、
散漫になりがちな海外ロケのシーンを、成功に導いています。
1980年代までの日本映画では、海外ロケが成功した数少ない
作品の内の2本でしょう。
しかし、「カリブ・愛のシンフォニー」は、序盤の数分を除いて、
すべてが海外ロケなので、上記のような手法は使えません。
対立する二人の男性というプロットも、神田正輝の相手が
峰竜太では弱すぎるため、対立シーンは取って付けたようです。
この映画のスタッフは、前2作の海外ロケの成功と、プロットを
踏まえた上で、敢えて違う作品作りに挑戦しています。
映画の冒頭「23歳。決して若いとは言えない年齢。」と松田聖子
が言っているように、この映画での松田聖子は、快活な個性を
控えめにし、自立した大人の女性の魅力に挑戦しています。
15年前に消息を絶った父親探しの旅というプロットも、
前2作とは異なります。
父親の墓を見て、失意の内に帰ろうとする松田聖子に対し、
「このまま帰ったら、ただの観光客だ。君のお父さんの辿った道を
歩いてみよう。」と、強引に引き留めるツアーコンダクターの
神田正輝。強引な誘いに弱い松田聖子は、二人でメキシコの
観光名所を巡る旅に出かけます。観光映画の側面を持つこの映画の
プロットが、演技を超えて神田正輝との愛を育んで行きました。
そして、映画のウエディングドレス姿そのままに、実生活でも
ゴールインする二人。世間は、百恵・友和に続く、聖子・正輝の
ゴールデンコンビの結婚と騒ぎ立てました。
結婚後の2年間、ほとんどマスコミに姿を見せなかった松田聖子は、
そのまま引退するのかと思われましたが、
その後の活躍は、皆さん御存知の通りです。
マスコミにバッシングを受ける時期もありましたが、
持ち前のプロ根性で跳ね除け、確固たる地位を築きました。
プロ根性を持ちながら、それを表に出さず、
爽やかで快活な個性を見せた松田聖子主演のアイドル映画3部作は、
もっと評価されていいと思います。
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プ
ルメリアの伝説~天国のキッス
主演の松田聖子が快活な個性を初めて発揮したアイドル映画
夏
服のイヴ
後に恋多き女と言われた松田聖子の個性が、早くもスクリーンで開花したアイドル映画
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