DVDで見れない傑作映画

 メテオ(1979)

「メテオ」は、巨大隕石が地球を直撃ずるのを
避けるため、米ソ両国の戦略核ミサイルを
結集させて、巨大隕石を迎撃する話です。

管理人:タッキー

最新更新日:
2017年10月28日

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↓パンフレットより
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巨 大な天体が地球を直撃するSFは、古くからあり、
その代表は、SF映画の製作者として有名なジョージ・パルが、
1951年に制作した「地球最後の日」です。
地球クラスの2連星の一方が地球に直撃し、地球を木っ端微塵に
吹き飛ばす事が解った科学者が、政府に訴えるも一笑に付され、
億万長者だけが、自らの命を助けたいがために、資金を提供します。

地球に衝突しない方の惑星に、ノアの方舟のように、ロケットで
地球を脱出して、惑星に移住する計画が遂行されます。
人類を存続させるため、人類の代表として優秀な男女を選別する
過程に、人間の私利私欲が絡み合うドラマ展開が、
緊迫感を増す作品に仕上がっていました。
ノアの方舟思想の作品は、最近の作品「2012」(2009)でも、
受け継がれています。

この1950年代の作品から11年後の1960年代の日本映画に、
「妖星ゴラス」(1962)という作品があります。
質量が地球の6000倍もありながら、体積は地球の4分の3と
いう黒色矮性(科学的には白色矮星のはずですが)が、
地球に直撃して、地球を木っ端微塵に吹き飛ばす事が解ります。

黒色矮性の地球直撃を避けるため、南極に巨大なロケット推進装置
を建造し、地球の軌道を変更するという壮大な計画が実行されます。
政治家は、科学者達にその席を譲り、国連の一員になった日本が、
その計画のリーダーになる部分は、日本映画とはいえ、
高度経済成長を続けていた頃の日本の勢いを感じさせる作品です。

「妖星ゴラス」から17年後、1970年代も終わりに近づいた頃
に制作されたのが、この作品「メテオ」(1979)です。
「メテオ」から、地球よりも遥かに小さい天体である巨大隕石や、
彗星・小惑星が地球に衝突するのを防ぐ話に変わります。
「地球最後の日」や「妖星ゴラス」に出てくる巨大な天体が、
地球に衝突する事が現実的でなく、荒唐無稽と受け取られる事も
ありますが、人類の持っている武器で破壊出来る程度の大きさに
したいという制作側の意図、強いては時代背景が見えてきます。

「メテオ」は、彗星が小惑星帯に突っ込み、小惑星オルフェスに
衝突し、その破片が隕石となって、地球に降り注ぐ話です。
最も巨大な隕石は、直径8キロメートルあり、地球に衝突すると、
吹き上げられた土砂で、太陽光線が遮られ、氷河期が訪れるため、
核ミサイルで軌道変更する事になります。それでも、米ソ両国の
戦略核ミサイルを結集させなければ、衝突を回避出来ない大きさです。

「メテオ」から19年後の1990年代末には、2本の天体直撃物
の映画が、相次いで制作・公開されます。
彗星が地球に直撃する「ディープ・インパクト」(1998)と、
小惑星帯が地球に直撃する「アルマゲドン」(1998)です。
2本とも、アメリカ単独で天体に爆薬を仕掛けて、
粉砕する骨子は同じです。ソ連が崩壊して、
アメリカの軍事力を見せつける映画に見えてしまいました。

「ディープ・インパクト」の方は、「地球最後の日」の権利を
持っているパラマウントの制作なので、ノアの方舟思想が復活する
かと思いましたが、それが避難所に退避出来る人の人選に転化
される展開に変貌していました。映画の前半の、アメリカとロシア
が協力して彗星を爆発させる話なのは好感が持てますが、
爆発に失敗した彗星が2つに分裂する事が、「地球最後の日」の
2連星のアイディアから、変貌していました。

それでも分裂した彗星の内、小さな方が地球を直撃し、
大災害をもたらす部分と、大きな方を再び爆破する部分が、
並行して描かれているのは、「メテオ」の後半と類似しています。

「アルマゲドン」に至っては、アメリカの単独行動、
(ロシアは燃料補給で協力するだけです。)
しかも石油採掘のプロを、小惑星爆破用の穴堀要因に急造する
話自体が乱暴な展開に思えました。主人公が命と引き換えに、
地球存亡の危機を回避する、お涙頂戴式のドラマ展開には、
前年の「タイタニック」の影響を、強く感じました。

この「メテオ」を傑作映画に選んだのは、前半の米ソ両国が
協力するまでを、しっかりしたディスカッション・ドラマに
しているからです。不測の事態に対処するために開発したミサイル
・ハーキュリーズを、戦略核ミサイルに転用された事に、
不満が収まらない科学者を、ショーン・コネリーが演じています。

ハーキュリーズを、ソ連の戦略核ミサイル・ピョートル大帝と共に
巨大隕石に向けて発射する計画の陣頭指揮を取るNASA長官を、
カール・マルデンが演じ、沈着冷静であり、権謀術数にも
長けている大統領を、ヘンリー・フォンダが演じています。
ソ連のピョートル大帝を開発した科学者を、ブライアン・キースが
演じ、その通訳をナタリー・ウッドが演じています。

中でも、ハーキュリーズの秘密をソ連に公開する事を、最後まで
強行に反対する、石頭の将軍をマーティン・ランドーが演じ、
強烈な印象を与えています。この個性的な役者達の
ディスカッションや対立の部分を見るだけでも、
一見の価値があります。

それもそのはず、監督が「ポセイドン・アドベンチャー」(1973)で、
役者達の見事な演技を引き出した、ロナルド・ニームだからです。
単なるパニック映画ではなく、人間ドラマとしても優秀な作品に
作り上げました。窮地に陥った時に、助けを待つか、
自ら行動するかを選択する場合、後者を選ぶというテーマ性も
兼ね備えていました。

「メテオ」でも、米ソ両国がお互いを信頼し、協力し合わなければ、
地球存亡の危機は回避されないというテーマを、役者達の
ディスカッションや対立を通して、明確に打ち出しています。

終盤の小さな隕石がニューヨークを直撃し、大災害をもたらす部分
と、巨大隕石をミサイル群で爆破するシーンは、迫力不足ですが、
VFXが発達していない時代の作品なので、仕方ないでしょう。
前半のディスカッションや対立の部分を楽しむために、
日本語吹き替え付きのDVD化が待たれます。ちなみに、
VHSの時は日本語吹き替えバージョンが発売されましたが、
テレビ放映時とは異なる声優の吹き替えなのが残念でした。

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