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1981年制作のアメリカ映画「この生命、誰のもの」は、
1982年に日本公開しています。
1960年代~80年代前半は、社会的メッセージ性がある映画を
エンタテイメント性と両立させて描く事が、
アメリカ映画の、得意分野のひとつでした。
この映画も、人間の尊厳死という重くなりがちなテーマを、
主演のリチャード・ドレイファスの活力に溢れた演技と、
テンポの良さで、良質のエンタテイメント映画に仕上げています。
エンタテイメント性のみを追求した映画と、
メッセージ性のみを追求した映画に分かれた、今日のアメリカ映画では、
ほとんど、見る機会の無い分野になってしまいました。
1982年は、他にも、ポール・ニューマン主演の「評決」や、
ヘンリー・フォンダの遺作となった「黄昏」等、
この分野で充実した作品が、多数公開されました。
上記2作品は、吹き替え付きでDVD化されているのに、
この映画は、DVD化はおろか、ビデオ化もされていません。
作品の時間も30分近くカットされた、
アスペクト比4:3のテレビ放映版しか、見る事が出来ません。
映画タイトル「この生命、誰のもの」が、
重苦しいイメージを与えたのか、興行成績も芳しくなく、
数人しか入っていない映画館で見た記憶があります。
舞台劇の映画化なので、タイトルの変更に対し、
アメリカ本社が、首を縦に振らなかったのでしょう。
興行成績の悪い過去の映画は、大きな映画賞でも取っていない限り、
DVDにも、ビデオにもなっていない事が多いです。
それでも、マニアが多いSF・ホラーや、アクション映画等、
男受けする映画は、B級作品でもDVDになる機会が増えましたが、
ドラマが主体の映画は、あまりDVD化が進んでいません。
本当は、繰り返し見る価値があるドラマ性豊かな映画こそ、
DVD化して欲しいのですが。レンタルDVDが頭打ちの今日、
セルDVDを買う人は、繰り返し見る価値がある映画を買います。
値下げしても、1回しか見ないような映画は、売れません。
置き場所を取るので、レンタルやテレビ放映で済ませます。
この作品では、彫刻家として自己表現する事が生きる意味の全てで
あるリチャード・ドレイファスが、交通事故で首から下の体全体が
麻痺し治る可能性が無くなったため、尊厳死を主張します。
それに真っ向から反対し、どのような状態であれ患者を生かす事が
医師の義務であると主張するジョン・カサベテスと対立します。
アメリカの一部の州や諸外国の一部では近年、
尊厳死に対する法的手続きが進んでいます。
この映画や舞台が、法整備に一役買っているのかもしれません。
これに対し日本では、法整備が進んでいません。
本来は自分の意思で決めるはずの尊厳死を、死が迫った患者に
対して延命治療を行わない方法と言い換え、
アメリカや諸外国で言う尊厳死を、安楽死と言い換える始末です。
まるで本来の意味の尊厳死が悪い事のように捉えられ、尊厳死に
協力した医師が、安楽死に加担した罪で裁判にかけられた例も
あります。法整備が進んでいないから、ジョン・カサベテスの
ような医師ばかりになるのでしょう。
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